潤滑油の気泡は機械トラブルだけでなく、粒子カウントの測定結果にも影響を及ぼします。本記事では、油中の気泡や表面の泡立ちが発生する原因や対策について紹介します。
潤滑油を使用する過程で、ポンプの吸い込み不良や戻り管の設計といった設備側の要因により、空気を巻き込んでしまうケースがよく見られます。専門的には、油の表面に浮かぶ泡立ち(フォーミング)と、油中に分散した微細な気泡(エアレーション)に区別され、測定の妨げになりやすいのは後者です。巻き込まれた空気がどれくらい早く抜けるかを示す放気性(ASTM D3427などで評価)は、油の粘度や温度、回路条件によって変動する点に注意しなければなりません。特定の条件下では微細な空気が長期間留まりやすくなり、これが誤判定の要因になる場合があります。
外部からの水分やコンタミと呼ばれる異物の混入も、気泡の状況を悪化させる一因として考えられます。潤滑油に水分が混ざるとエマルション(乳化)が形成される場合があり、これが発生した気泡の膜を安定化させ、割れにくくする作用をもたらす要因の一つです。さらに、微小なゴミなどのコンタミが核となって気泡を形成しやすくなる現象も流体工学的に知られています。ただし、粒子の径や表面の親水性・疎水性などによって影響の度合いは変化するため、常に同じ状態になるわけではありません。複数の要素が絡み合うことで、結果的に気泡が抜けにくくなる可能性が想定されます。
オイルを長期間にわたって使い続けると、徐々に酸化劣化が進んで界面特性が変化していくのが一般的です。油の劣化が進行すると、本来備わっていた消泡性が低下し、泡切れが遅くなる傾向にあります。さらに、泡立ちを抑える目的で配合されているシリコーン系などの消泡剤も、フィルタでの除去や吸着などによって使用時間の経過とともに少しずつ消耗していく仕組みです。その結果として、気泡が表面や油中に滞留しやすくなる現象が起こります。
気泡トラブルの根本的な原因を絶つためには、日常的な設備点検を実施することが有効なアプローチとなります。たとえば、サクションライン(吸い込み配管)の継ぎ目に緩みが生じていると、そこから空気を吸い込んでエアレーションを引き起こす恐れがあります。また、パッキンやオイルシールの劣化を放置すると、外部から水分やゴミが侵入する原因になりかねません。こうした物理的な侵入経路を塞ぐために、定期的な目視確認やメンテナンスを行うことが重要です。設備側のトラブルを未然に防ぐ姿勢が、結果として潤滑油を良好な状態に保つことにつながります。
設備の点検とあわせて、潤滑油そのものの定期的な状態管理を継続していくことも大切になってきます。実務においては、ISO 4406やSAE AS4059(旧NAS 1638等級から移行が進む規格)といった具体的な基準を参考にしながら清浄度を把握し、油の劣化具合やコンタミの量をチェックすることが推奨されます。分析結果から消泡剤の消耗や著しい酸化が認められた場合には、適切なタイミングで新しいオイルへ交換するなどのメンテナンスを検討してみてください。継続的に油の状態を可視化することで、気泡によるリスクを減らし、安定した機械の稼働をサポートする効果が期待できるでしょう。
当メディアでは、現場向けのオイルパーティクルカウンタを製品ごとの強み・事例つきで解説しています。オイルパーティクルカウンタは製品によって対応できる粒径範囲や測定方式、インライン・ポータブルなどの仕様が異なるため、設備や用途に合ったモデルを選ぶことが重要。
以下の記事では、設備状態のモニタリング・巡回点検・原因分析の用途別で紹介していますので、チェックしてみてください。
正確な清浄度測定を行うためには、サンプルを採取する段階で新たな気泡を発生させないような慎重な取り扱いが求められます。専用の容器へオイルを移す際には、勢いよく注がずに壁面を伝わせるように静かに流し込むといった工夫が有効です。また、採取後の容器を激しく上下に振るような動作は極力避け、ゆっくりと反転させて混ぜるなど、空気を巻き込まない手順を意識しましょう。
自動粒子カウンタ、とくに光遮蔽方式のセンサーを使用する場合、油中に残った気泡や水滴を異物として誤認してしまうことがあります。この誤判定を防ぐためには測定前の脱泡処理が必要になりますが、どのような手法を用いるかは慎重に判断しなければなりません。たとえば超音波照射は広く知られているものの、強すぎると逆に微細気泡を発生させる要因になる場合があり、真空引きなども成分変化を招く可能性があるため万能とは言えないのです。実際の試料の種類や適用する分析規格に照らし合わせ、その状況に適した処理手順を選択するよう心がけてください。
潤滑油の気泡トラブルは、表面の泡立ち(フォーミング)と油中分散気泡(エアレーション)に分けられ、設備の構造や水分の影響、オイルの劣化など多様な要因で生じます。これらが残ったまま光遮蔽方式などの粒子カウンタを使用すると、誤判定を引き起こす要因になり得るため注意しなければなりません。正確な清浄度管理を実施していくためには、配管点検やオイル交換による予防にくわえ、規格に沿った適切な脱泡処理と丁寧なサンプリングが不可欠です。油の状態を定期的に把握しつつ、実務環境に合わせた無理のない対策を講じていく姿勢を大切にしましょう。
当メディアでは、オイルの清浄度に関する基本知識を解説しています。以下のリンク先は、オイルの清浄度を維持する基本と対策についてまとめた記事ですので併せてご覧ください。

配管に据え付けてデータを自動取得する方式により、抜き取り式では捉えにくい摩耗粉の傾向的変化を計測。設備状態を点ではなく傾向で把握可能。
装置ごとに異なる摩耗粒子のサイズに合わせて測定レンジを8つ設定可能。固定粒度では見逃してしまう変動も検知し、状態監視の精度が安定する。
PCから遠隔で状態変化の傾向を確認でき、夜間や遠隔設備でも見落としにくい。履歴はLAN経由で自動的に蓄積され、現場での記録作業を省ける。
| 計測方式 | 光遮蔽法 |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | 5~150µm |
| 1回の計測液量 | 約20ml |
| 計測可能周囲温度 | RT(室温)~60℃ |
| 外形寸法 | 高さ290(+脚15)×幅285×奥行390(mm) |
| 重量 | 約22kg |

電源不要のバッテリー駆動で、成形機の裏や建機ヤードなど、電源が取りにくい場所でもそのまま測定できる。
測定後わずか2分でISO4406/NAS/AS4059の清浄度コードを表示するため、その場で結果が分かる。点検の流れを止めずに作業が完了する。
鉱油・燃料・Skydrolまで対応するため、油種が混在する現場でも使い回せる。台数を増やさずに済むためコスト効率が良い。
| 計測方式 | 光遮蔽法 |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | - |
| 1回の計測液量 | - |
| 計測可能周囲温度 | - |
| 外形寸法 | 高さ:277mm/長さ:240mm/幅:158mm |
| 重量 | 8kg |

4µm級の微小粒子まで安定して検出できるため、評価データの精度が上がり、品質保証の確度が高まる。
粒子を画像で取り込み、形状から摩擦・切削・疲労などの摩耗の種類を自動分類。発生メカニズムを特定し、再発防止の根拠づくりがしやすい。
清浄度コード(ISO/NAS)、粒子画像、形状分類の結果をレポートで出力。必要な証跡がそろった状態で提出できるため、監査や顧客説明の準備が短縮される。
| 計測方式 | 直接イメージング(CCDカメラ+レーザー照射) |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | 4µm~100µm |
| 1回の計測液量 | 数mL |
| 計測可能周囲温度 | - |
| 外形寸法 | - |
| 重量 | - |