油中摩耗粉の早期検知ガイド(潤滑系)

目次

潤滑油中の摩耗粉を早期に検知する取り組みは、潤滑系トラブルや設備停止を未然に防ぐ有効な手段です。
本記事では摩耗粉の種類や発生メカニズム、トラブル事例、粒径の見方などを解説します。

摩耗粉とは何か

潤滑油中に混入する、機械部品の表面が削れた微小な金属片や酸化物、樹脂・ゴム片などの粒子物質を指します。
機械が稼働する限り発生する摩耗粉は、設備内部で起きている変化を反映し、示してくれる存在です。

摩耗粉には摩耗量や摩耗形態、異常の有無といった重要な情報が凝縮されています。

摩耗粉の種類について

代表的な摩耗形態として「凝着摩耗」「アブレシブ摩耗」「疲労摩耗」などが挙げられます。

凝着摩耗は油膜切れなどで金属同士が直接接触し、表面同士が溶着・剥離する現象です。比較的大きな金属光沢粒子が発生します。

アブレシブ摩耗は砂や硬い異物が表面を削り取るタイプです。細長い切削片が生じやすい傾向にあります。

疲労摩耗では材料内部の亀裂から表面が剥離。角の立った破片が生じます。

発生している摩耗形態によって粒子の形状やサイズが変化するため、油中の摩耗粉観察は設備内部の損傷状態を推定する有力な根拠です。

摩耗粉の発生原因

摩耗粉が発生する上流側の原因は、潤滑油自体の酸化や熱劣化、スラッジの発生といった油の性能低下です。
油温上昇による粘度低下や、外部からの砂・金属粉・水分などの異物混入も要因となります。

油そのものの性能低下と外部からの異物混入が組み合わさると、十分な油膜が形成されずに金属接触や腐食が進行し、摩耗粉の発生速度が加速。
摩耗粉が増える現象は、設備内部で摩耗形態が悪化しているサインと言えます。

摩耗粉の生成過程

通常、潤滑油は部品同士の接触部に油膜を作りクッションの役割を果たしますが、荷重増加や振動、油温上昇などで油膜が不足すると局所的に油膜が破断
金属接触により表面が塑性変形を起こして微小な凸部が削り取られ、ナノレベルからサブミクロンレベルの微細な粉が発生し始めます。

状態が悪化して疲労や凝着が進むと、数μmから数十μmの大きな摩耗粉(摩耗片)が剥離して油中に流出。
初期段階では微細粒子が増え、進行に伴い大粒子が増えるパターンが多く、こういった粒径分布の変化は摩耗ステージの推移を表しています。

摩耗粉によるトラブルとは

フィルタの詰まりによる油圧低下やアクチュエータの停止など、生産ラインの停止や品質不良といった大きな損害につながります。

潤滑油中に混入する摩耗粉は、シール劣化物や砂埃と同様にコンタミネーション(汚染物質)として扱われる物質です。

硬い摩耗粉がポンプやバルブのスプール部に噛み込むと、動作不良や吐出量低下が発生。
ベアリングやギヤにおいては、摩耗粉が部品表面を削り、新たな摩耗粉を生み出す摩耗の連鎖が起きることもあります。

摩耗粉を可視化すれば、
突発停止リスクを下げられる

摩耗粉由来のトラブルは、時にライン停止や製品不良を招き、深刻な損害につながります。

リスクを回避するには、摩耗粉をはじめとするコンタミネーション(汚染物質)を量と粒径で定量的に管理し、異常の兆候を事前に把握する取り組みが欠かせません。

有効な解決手段として、作動油や潤滑油中の粒子数と粒径分布をリアルタイムで計測できる「オイルパーティクルカウンタ」の使用が挙げられます。
油圧システム故障の多くは油の汚染に起因しており、汚染管理は設備寿命の延長とトータルコスト低減に直結するポイントです。

当メディアでは、設備の状態モニタリング、巡回点検、原因分析など用途別におすすめのオイルパーティクルカウンタを紹介しています。各製品の違いを見比べて、自社に合う製品を選ぶ参考としてください。

試作品評価と検証

試作評価試験での突発的な破損は、手戻りやコスト増大の要因です。しかし潤滑油中の摩耗粉をモニタリングすれば、完全破損の前に予兆を捉えることが可能です。
オイルパーティクルカウンタを用いて、試作品を壊さずに内部の摩耗状態を可視化・評価する手法について解説します。

摩耗粉の見方(潤滑油中)|
粒径分布と傾向観察

摩耗粉の粒径・個数・形状の変化を追跡することは、どの部位でどのような摩耗がどの程度のスピードで進行しているかを推定する重要な手がかりになります。

一般的な産業設備では、通常運転時には5μm未満の微細粒子が中心で、一定のレベルに収まっていることが多いとされています。

異常が進行すると5μm以上の大粒子が急増し、粒径分布も大粒子寄りにシフト。表面剥離や凝着摩耗の悪化など、重大な損傷リスクが高まる危険なサインです。

定期的なサンプリングとパーティクルカウント、形状観察を継続することで、設備を止めずに異常兆候をつかむ予知保全が可能です。

※参照元:RMFジャパン公式HP(https://www.rmfj.co.jp/information/techinfo/junkatsu008/
用途別
オイルパーティクルカウンタ
おすすめ3選
設備状態モニタリング
変化を連続的に
捉えたいなら
PI-1000(東陽テクニカ)
東陽テクニカ公式サイト
※画像引用元:東陽テクニカ公式サイト(https://www.toyo.co.jp/lp/las/)
状態変化をトレンドで
捉えられる計測方式

配管に据え付けてデータを自動取得する方式により、抜き取り式では捉えにくい摩耗粉の傾向的変化を計測。設備状態を点ではなく傾向で把握可能。

設備固有の摩耗特性に合った
粒度で最適化

装置ごとに異なる摩耗粒子のサイズに合わせて測定レンジを8つ設定可能。固定粒度では見逃してしまう変動も検知し、状態監視の精度が安定する。

遠隔でチェックしながら
自動でログ蓄積

PCから遠隔で状態変化の傾向を確認でき、夜間や遠隔設備でも見落としにくい。履歴はLAN経由で自動的に蓄積され、現場での記録作業を省ける。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 5~150µm
1回の計測液量 約20ml
計測可能周囲温度 RT(室温)~60℃
外形寸法 高さ290(+脚15)×幅285×奥行390(mm)
重量 約22kg
巡回点検
清浄度をその場で
判定したいなら
Icount LaserCM(Parker)
Parker公式サイト
※画像引用元:Parker公式サイト(https://ph.parker.com/jp/ja/product-list/icount-lasercm-portable-particle-counter)
現場のどこでも使えるポータブル式

電源不要のバッテリー駆動で、成形機の裏や建機ヤードなど、電源が取りにくい場所でもそのまま測定できる。

ISO/NAS表示で
2分後には結果が出る

測定後わずか2分でISO4406/NAS/AS4059の清浄度コードを表示するため、その場で結果が分かる。点検の流れを止めずに作業が完了する。

複数の油種を1台で計測可能

鉱油・燃料・Skydrolまで対応するため、油種が混在する現場でも使い回せる。台数を増やさずに済むためコスト効率が良い。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 -
1回の計測液量 -
計測可能周囲温度 -
外形寸法 高さ:277mm/長さ:240mm/幅:158mm
重量 8kg
原因分析
不良原因や摩耗の種類まで
突き止めたいなら
LaserNet 200(Spectro Scientific)
Spectro Scientific公式サイト
※画像引用元:Spectro Scientific公式サイト(https://www.spectrosci.com/product/lasernet-200-series)
4µm級まで検出し、
品質判断の見落としを防ぐ

4µm級の微小粒子まで安定して検出できるため、評価データの精度が上がり、品質保証の確度が高まる。

粒子の形まで見え
原因特定が早い

粒子を画像で取り込み、形状から摩擦・切削・疲労などの摩耗の種類を自動分類。発生メカニズムを特定し、再発防止の根拠づくりがしやすい。

監査対応の証跡をまとめて出力

清浄度コード(ISO/NAS)、粒子画像、形状分類の結果をレポートで出力。必要な証跡がそろった状態で提出できるため、監査や顧客説明の準備が短縮される。

計測方式 直接イメージング(CCDカメラ+レーザー照射)
検出粒子径範囲 4µm~100µm
1回の計測液量 数mL
計測可能周囲温度 -
外形寸法 -
重量 -
用途別オイルパーティクルカウンタ おすすめ3選
用途別
オイルパーティクルカウンタ
おすすめ3選