試作品評価と検証

目次

試作品評価では、開発を担うエンジニアや責任者が内部で発生している摩耗や負荷の変化をつかみきれず、想定外の破損につながるケースが少なくありません。

本記事では、試作段階で起こりがちな破損リスクと、摩耗の兆候を壊れる前に把握するための考え方を整理して紹介。
特にオイルパーティクルカウンタを活用した非破壊評価によって、再試作コストの削減や開発スピード向上が可能になる理由をまとめています。

試作品評価で起こりがちな
「想定外の破損」

製品の限界を見極めるために、試作段階では高負荷試験や耐久試験を行います。その際に破損が発生することは珍しくありません。
試験中の破壊・破損に伴う手戻りは開発工程における大きなリスクです。

試作段階の評価試験が抱える
リスク

試作品評価における大きなリスクは、故障や破損のタイミングを事前に予測できない点です。試作品は台数が限られており、多くの場合、1台で複数の評価項目を順に実施する必要があります。

試験の途中で破損が発生すると、残りの評価データを取得できなくなるだけでなく、それまでに蓄積したデータとの連続性も失われます。その結果、試験設備や計測条件の再調整が必要となり、評価スケジュール全体に影響を及ぼします。

内部状態を把握できないまま試験を進めることは、故障原因の特定を難しくし、結果として開発遅延を招く要因となります。

再試作・再評価のコストは膨大

試作品の破損は多額の損失に直結することもあります。部材調達から加工、組立にかかるリードタイムに加え、再試験の準備工数まで含めると、損失は甚大です。

設備保全の分野で進む「状態監視に基づく保全(コンディションベースドメンテナンス:CBM)」の考え方は、試作開発においても重要性を増しています。壊れる前に予兆を捉える仕組みが、想定外のコスト超過を防ぎ、開発予算を適正に配分するための鍵です。

摩耗の兆候は潤滑油に現れる

潤滑油は機械内部を循環し、摩擦面を保護すると同時に、発生した摩耗粉を運搬する、いわば「機械の血液」といえる存在です。

油中に含まれる粒子の量やサイズ、形状の変化は、機械の作動状態を反映します。過負荷による摩耗や潤滑不良、疲労摩耗といった現象も、潤滑油を通じて捉えることができます。

特に、油圧ユニットやギア、ベアリングを含む駆動系の耐久試験では、油中の粒子数増加が比較的早い段階で現れやすく、「まだ動作しているが、このまま続けると危険」という兆候を把握しやすくなります。

分解調査が容易ではない試作品において、潤滑油分析は内部状態を把握するための有効な手段となります。

オイルパーティクルカウンタで
「壊れる前に止める」

オイルパーティクルカウンタは、潤滑油や作動油中の微粒子数を光学的かつ定量的に計測する装置です。従来は油圧機器の清浄度管理や、設備の汚染劣化を防ぐ目的で用いられてきました。

試作品評価に応用することで、試験中の異常摩耗をリアルタイムに捉えるセンサーとして機能。試験ベンチや試作品の油系統にオンライン接続すれば、常時監視が可能となり、評価試験の質を向上させられます。

リアルタイムで異常摩耗を検知

レーザー光の遮断や散乱を利用し、流路を通過する粒子数と粒径分布を瞬時に計測します。

オンライン型であれば、秒単位から分単位でデータを取得し、清浄度クラスの推移をトレンドグラフとしてリアルタイムに表示可能。粒子数の急増など異常な傾向が見られた時点で試験を中断できます。

経験や感覚に頼らず、数値データに基づいて停止判断を下せるのがメリット。迅速な原因究明と設計修正へと移行でき、故障に至るまでのリードタイムも確保できます。

非破壊検査としても有効

油系統へのセンサ設置やサンプリングポートからの採取のみで測定できるため、試作品を分解する必要がありません。稼働させたまま内部状態を推測する、流体の非破壊検査として機能します。定期的な分解点検や外部機関へのラボ分析依頼にかかる手間を削減可能です。

オイルパーティクルカウンタによる常時監視は、異常摩耗を即座に設計にフィードバックできるため、短期間で『試験・評価・改善』のサイクルを回すアジャイルな開発スタイルに適しています。

試作品を壊す前に検知できれば
開発コストを抑制可能

試作品評価における想定外の破損は、再試作費や工数、市場投入の遅れという大きな代償を伴います。

オイルパーティクルカウンタで潤滑油中の摩耗状態を監視すれば、壊れる前に異常を検知し、試験を安全に停止する体制が実現可能です。

「計画外に壊さない運用」「再試作や再評価の削減」「開発サイクルの短縮」といった、オイルパーティクルカウンタ導入によるメリットは、製品開発の競争力を強化します。

当メディアでは、用途や試験環境別にオイルパーティクルカウンタをご紹介。まずは下記の記事から、自社の評価試験に適した一台を見つけてください。

用途別オイルパーティクルカウンタ おすすめ3選
用途別
オイルパーティクルカウンタ
おすすめ3選
用途別
オイルパーティクルカウンタ
おすすめ3選
設備状態モニタリング
変化を連続的に
捉えたいなら
PI-1000(東陽テクニカ)
東陽テクニカ公式サイト
※画像引用元:東陽テクニカ公式サイト(https://www.toyo.co.jp/lp/las/)
状態変化をトレンドで
捉えられる計測方式

配管に据え付けてデータを自動取得する方式により、抜き取り式では捉えにくい摩耗粉の傾向的変化を計測。設備状態を点ではなく傾向で把握可能。

設備固有の摩耗特性に合った
粒度で最適化

装置ごとに異なる摩耗粒子のサイズに合わせて測定レンジを8つ設定可能。固定粒度では見逃してしまう変動も検知し、状態監視の精度が安定する。

遠隔でチェックしながら
自動でログ蓄積

PCから遠隔で状態変化の傾向を確認でき、夜間や遠隔設備でも見落としにくい。履歴はLAN経由で自動的に蓄積され、現場での記録作業を省ける。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 5~150µm
1回の計測液量 約20ml
計測可能周囲温度 RT(室温)~60℃
外形寸法 高さ290(+脚15)×幅285×奥行390(mm)
重量 約22kg
巡回点検
清浄度をその場で
判定したいなら
Icount LaserCM(Parker)
Parker公式サイト
※画像引用元:Parker公式サイト(https://ph.parker.com/jp/ja/product-list/icount-lasercm-portable-particle-counter)
現場のどこでも使えるポータブル式

電源不要のバッテリー駆動で、成形機の裏や建機ヤードなど、電源が取りにくい場所でもそのまま測定できる。

ISO/NAS表示で
2分後には結果が出る

測定後わずか2分でISO4406/NAS/AS4059の清浄度コードを表示するため、その場で結果が分かる。点検の流れを止めずに作業が完了する。

複数の油種を1台で計測可能

鉱油・燃料・Skydrolまで対応するため、油種が混在する現場でも使い回せる。台数を増やさずに済むためコスト効率が良い。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 -
1回の計測液量 -
計測可能周囲温度 -
外形寸法 高さ:277mm/長さ:240mm/幅:158mm
重量 8kg
原因分析
不良原因や摩耗の種類まで
突き止めたいなら
LaserNet 200(Spectro Scientific)
Spectro Scientific公式サイト
※画像引用元:Spectro Scientific公式サイト(https://www.spectrosci.com/product/lasernet-200-series)
4µm級まで検出し、
品質判断の見落としを防ぐ

4µm級の微小粒子まで安定して検出できるため、評価データの精度が上がり、品質保証の確度が高まる。

粒子の形まで見え
原因特定が早い

粒子を画像で取り込み、形状から摩擦・切削・疲労などの摩耗の種類を自動分類。発生メカニズムを特定し、再発防止の根拠づくりがしやすい。

監査対応の証跡をまとめて出力

清浄度コード(ISO/NAS)、粒子画像、形状分類の結果をレポートで出力。必要な証跡がそろった状態で提出できるため、監査や顧客説明の準備が短縮される。

計測方式 直接イメージング(CCDカメラ+レーザー照射)
検出粒子径範囲 4µm~100µm
1回の計測液量 数mL
計測可能周囲温度 -
外形寸法 -
重量 -