オイル清浄度の測定方法(油種別の注意点)

目次

オイルの清浄度と機械トラブルは密接な関係にあります。
本記事では、代表的な清浄度の規格から測定方法の特徴、油種別の注意点まで紹介します。

オイル清浄度とは何か

清浄度が重要視される理由

製造業で用いられる機械は精密に設計されており、部品同士の隙間(クリアランス)は数ミクロン単位の小ささです。ここに汚れたオイルが循環すると、微細な粒子が「研磨剤(ヤスリ)」となり、部品を削ってしまいます。
削り取られた金属粉が新たな摩耗を引き起こす「摩耗の連鎖」が発生すると、機械の寿命はさらに短縮します。そのため、オイルを清浄に保つことは、トラブルを未然に防ぐ予防保全と言えます。

以下の記事では、オイルの清浄度を維持する基本と対策についてまとめていますので併せてご覧ください。

清浄度維持の基本と対策

清浄度の定義と「粒子数」での
表現方法

オイルの「清浄度」は、特定の大きさ以上の粒子がオイルの中にどれだけ入っているかによって決まります。
清浄度を数値化するために、粒子の大きさと個数を基準化した規格があり、代表的なものはNAS1638 (National Aerospace Standard 1638)とISO4406(International Organization for Standardization 4406) の2つです。

NAS1638は、100mL中の粒子を「5〜15μm」「15〜25μm」など5つのサイズ帯に分けて計測し、最も汚れているサイズ帯の等級を採用。一方で現在主流のISO4406は、機械トラブルに影響しやすい「4μm以上・6μm以上・14μm以上」の3つに絞って粒子数を測定し、「ISO 21/19/14」のように表します。

オイル清浄度の主な測定方法

質量汚染濃度法
(フィルタ重量法)

油の中にどれくらい「固形の汚れ」が入っているかを重さで測る方法です。手順はシンプルで、油をフィルタでろ過して、残った汚れの質量を測定。全体の汚れの量を大まかに評価する場合に適しています。

ただし、粒の大きさや種類までは分からないため、細かい粒度管理が必要な場合は次の「粒子計数法」が適しています。

粒子計数法
(パーティクルカウンタ法)

オイルの中を流れる微粒子に光を当て、その光の変化から「どのサイズの粒子が何個あるか」を数える方法です。光の使い方によって、「光遮へい法」「光散乱法」の2種類に分かれます。

「光遮へい法」は、粒子が通ることで光がどれだけ遮られたかを測り、光の欠け方から粒子の大きさを判断します。油の清浄度管理で標準的な方法として採用されています。
「光散乱法」は、粒子に当たった光が周囲に散乱する現象を利用し、散った光の強さから粒径を算出する方法です。小さい粒子にも反応しやすい一方で、液体の色や濁りの影響を受けやすいため作動油には不向きです。

粒子計数法を理解する際は、オイル測定器全般とパーティクルカウンタの目的の違いも押さえておくと、機器選定で迷いにくくなります。

オイルの粒子を測定するには?

「粒子計数法」による精密な管理を行うためには、専用の測定機器であるオイルパーティクルカウンタが必要です。当メディアでは、現場向けのオイルパーティクルカウンタを製品ごとの強み・事例つきで解説しています。

オイルパーティクルカウンタは製品によって対応できる粒径範囲や測定方式、インライン・ポータブルなどの仕様が異なるため、設備や用途に合ったモデルを選ぶことが重要。
以下の記事では、設備状態のモニタリング・巡回点検・原因分析の用途別で紹介していますので、チェックしてみてください。

油種別にみる測定上の注意点

オイルは種類によって成分や使用環境が異なるため、採油方法を誤ると清浄度が実態より悪く(あるいは良く)見えてしまうケースがあります。油種ごとの注意点を把握しておきましょう。

潤滑油(ギア油・タービン油)

ギア油やタービン油には摩耗防止のための添加剤が多く含まれているため、気泡や添加剤の成分がゴミ(コンタミ)とカウントされやすく、清浄度が実際より悪く表示されるケースがあります。

サンプリングの際は、気泡が抜ける時間を十分に確保することが重要。かつ、沈殿物が溜まりやすいタンクの底を避けて油が流動している箇所から採取することで、より実態に近い数値を測定できます。

作動油・油圧油

油圧システム(作動油・油圧油)は圧力や温度の変化が大きく、運転状況によってオイルの状態が変化しやすいという特徴があります。なるべく同じ条件で抽出するための目安時間は、温度が安定していて粒子が均一に分散している「稼働後の30分以降」または「停止10分以内」です。

また、タンクの底は粒子が沈殿しやすく均質ではないため、オイルが流動している「戻り配管の途中」から採油。ただし、フィルタがある場合には粒子が除去されるのを防ぐためフィルタの手前で採油します。

※参照元:RMFジャパン公式HP(https://www.rmfj.co.jp/information/techinfo/junkatsu011/

エンジンオイル・燃焼系潤滑油

エンジンオイルは燃焼室まわりで使われるため、すす(カーボン)や酸化物が混ざりやすく、光学式の清浄度測定では微粒子として誤検出されて清浄度が実際より悪く表示されることがあります。
採油時に沈殿が多い底部を避け、エンジン停止後すぐの油を取らない対策が大切です。

絶縁油・冷却油

変圧器などに用いられる絶縁油は、絶縁と冷却の役割を持っています。
使用中に空気や熱に触れることで酸化が進むと「スラッジ」と呼ばれる汚れが発生し、性能の悪化や測定への悪影響が発生してしまうため扱いには注意が必要。水分の混入を防ぎ、空気へ触れさせないような状態で採油を行います。

よくある質問

NAS等級とISO 4406の清浄度コードは、そのまま換算して比較できますか?

NAS1638とISO 4406では、評価する粒径区分や等級の表し方が異なるため、単純に同じ数字として比較することはできません。
設備や顧客仕様で求められている規格を確認し、過去データと比較する場合も同じ規格でそろえることが大切です。 管理基準を途中で変更する場合は、旧基準との対応関係を整理しておきましょう。 粒径区分と採油位置に加え、油温、運転状態、測定器設定までを実際の運用条件として分けて評価すると、測定ばらつきと実際の清浄度変化を分けて評価しやすくなります。

同じオイルを続けて測定しても数値が違うのはなぜですか?

採油場所や運転状態、油温、サンプル中の沈殿・気泡、容器の清浄度などが異なると、同じ設備でも測定結果は変動します。
比較用のデータを取る場合は、採油位置・採油タイミング・前処理・測定手順をできるだけ統一し、単発値よりも同じ条件で取得した推移を見ることが重要です。 採油位置、油温、運転状態の優先度は案件ごとに変わるため、測定器設定と測定回数も合わせて見ると、測定ばらつきと実際の清浄度変化を分けて評価しやすくなります。

清浄度の基準値を決めるとき、最初の1回の測定値を基準にしてもよいですか?

初回の1点だけを基準にすると、その測定時だけの気泡や沈殿、運転条件の影響を受ける可能性があります。
まずは同じ条件で複数回測定して通常時の範囲を把握し、設備メーカーの推奨値や重要部品の要求清浄度も確認したうえで、警戒値や管理値を設定すると運用しやすくなります。 比較の前提として採油位置・油温・運転状態・測定器設定・測定回数を切り分けて整理すると、測定ばらつきと実際の清浄度変化を分けて評価しやすくなります。

色が濃いオイルや濁ったオイルでも、光学式パーティクルカウンタで測定できますか?

光学式は光の変化を利用して粒子を検出するため、濃色油や乳化した油、すすを多く含む油では測定に影響が出る場合があります。
測定器ごとに対応できる油種や濃度が異なるため、希釈などの前処理が必要かを確認し、用途に合う測定方式を選ぶことが重要です。 採油位置だけを基準にすると油温や運転状態による差を見落とすことがあるため、測定器設定・測定回数まで含めて評価すると、測定ばらつきと実際の清浄度変化を分けて評価しやすくなります。

フィルターの前と後では、どちらを測定すればよいですか?

何を確認したいかで測定位置は変わります。
設備全体の汚染傾向を見たい場合は循環油を代表できる位置、フィルター性能を確認したい場合は前後を測定して比較します。 故障原因を探る場合は、疑わしい機器の上流・下流を追加するなど、目的に合わせて測定点を設計しましょう。 実際の判断では採油位置、油温、運転状態に加え、測定器設定と測定回数の条件差も含めて考えることで、測定ばらつきと実際の清浄度変化を分けて評価しやすくなります。

用途別オイルパーティクルカウンタ おすすめ3選
用途別
オイルパーティクルカウンタ
おすすめ3選
用途別
オイルパーティクルカウンタ
おすすめ3選
設備状態モニタリング
変化を連続的に
捉えたいなら
PI-1000(東陽テクニカ)
東陽テクニカ公式サイト
※画像引用元:東陽テクニカ公式サイト(https://www.toyo.co.jp/lp/las/)
状態変化をトレンドで
捉えられる計測方式

配管に据え付けてデータを自動取得する方式により、抜き取り式では捉えにくい摩耗粉の傾向的変化を計測。設備状態を点ではなく傾向で把握可能。

設備固有の摩耗特性に合った
粒度で最適化

装置ごとに異なる摩耗粒子のサイズに合わせて測定レンジを8つ設定可能。固定粒度では見逃してしまう変動も検知し、状態監視の精度が安定する。

遠隔でチェックしながら
自動でログ蓄積

PCから遠隔で状態変化の傾向を確認でき、夜間や遠隔設備でも見落としにくい。履歴はLAN経由で自動的に蓄積され、現場での記録作業を省ける。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 5~150µm
1回の計測液量 約20ml
計測可能周囲温度 RT(室温)~60℃
外形寸法 高さ290(+脚15)×幅285×奥行390(mm)
重量 約22kg
巡回点検
清浄度をその場で
判定したいなら
Icount LaserCM(Parker)
Parker公式サイト
※画像引用元:Parker公式サイト(https://ph.parker.com/jp/ja/product-list/icount-lasercm-portable-particle-counter)
現場のどこでも使えるポータブル式

電源不要のバッテリー駆動で、成形機の裏や建機ヤードなど、電源が取りにくい場所でもそのまま測定できる。

ISO/NAS表示で
2分後には結果が出る

測定後わずか2分でISO4406/NAS/AS4059の清浄度コードを表示するため、その場で結果が分かる。点検の流れを止めずに作業が完了する。

複数の油種を1台で計測可能

鉱油・燃料・Skydrolまで対応するため、油種が混在する現場でも使い回せる。台数を増やさずに済むためコスト効率が良い。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 -
1回の計測液量 -
計測可能周囲温度 -
外形寸法 高さ:277mm/長さ:240mm/幅:158mm
重量 8kg
原因分析
不良原因や摩耗の種類まで
突き止めたいなら
LaserNet 200(Spectro Scientific)
Spectro Scientific公式サイト
※画像引用元:Spectro Scientific公式サイト(https://www.spectrosci.com/product/lasernet-200-series)
4µm級まで検出し、
品質判断の見落としを防ぐ

4µm級の微小粒子まで安定して検出できるため、評価データの精度が上がり、品質保証の確度が高まる。

粒子の形まで見え
原因特定が早い

粒子を画像で取り込み、形状から摩擦・切削・疲労などの摩耗の種類を自動分類。発生メカニズムを特定し、再発防止の根拠づくりがしやすい。

監査対応の証跡をまとめて出力

清浄度コード(ISO/NAS)、粒子画像、形状分類の結果をレポートで出力。必要な証跡がそろった状態で提出できるため、監査や顧客説明の準備が短縮される。

計測方式 直接イメージング(CCDカメラ+レーザー照射)
検出粒子径範囲 4µm~100µm
1回の計測液量 数mL
計測可能周囲温度 -
外形寸法 -
重量 -