軸受の摩耗粉を検知する方法|粒子カウントと閾値

目次

軸受の突発的なトラブルを防ぐためには、潤滑油中の摩耗由来と考えられる粒子増加を把握し、適切な閾値で管理する体制が不可欠となります。本記事では、オイルパーティクルカウンタを活用した粒子カウントの仕組みや、保全判断の基準となる閾値の設定方法について解説します。

軸受の摩耗粉を定量的に検知する粒子カウント

オイルパーティクルカウンタを活用した測定の仕組み

軸受の摩耗兆候を把握するためには、潤滑油中に浮遊する微小な粒子を定量的に監視する仕組みが求められます。その有効な手段として挙げられるのが、オイルパーティクルカウンタを用いた粒子カウントです。この機器は、レーザー光などの光学的な原理を利用して、オイルを通過する粒子の数と大きさを自動的に測定する機能を備えています。従来行われてきた目視での確認や手作業による分析と比較して、人間の感覚に依存しないため、より定量的なデータを得ることが可能です。ただし、本機器が直接測定するのは粒子の数やサイズであり、それが金属摩耗粉なのか外部からの侵入異物なのかといった材質までは通常判別できません。そのため、潤滑油中の粒子数や粒径分布の変化を数値として捉え、摩耗進行の兆候をいち早く把握するためのツールとして活用することが適しています。

ISO 4406やNAS 1638を用いた清浄度の可視化

オイルパーティクルカウンタで検知した粒子データは、そのままでは単なる数値の羅列となり、保全判断を下すのが困難な場合があります。そこで、潤滑油の清浄度を分かりやすく可視化するために、ISO 4406などの清浄度コードや、NAS 1638などの汚染度分類が広く用いられています。これらの規格は、一定量のオイルに含まれる粒子の数やサイズに基づいて、汚染度をクラス分けして評価する仕組みを持っています。測定された結果をこれらの規格に当てはめることで、現在の潤滑油がどの程度の清浄度を保っているのかを一目で判断できるようになる仕組みです。このような共通の指標を取り入れることは、社内での情報共有をスムーズにし、的確なメンテナンス計画を立てるうえで非常に役立つアプローチとなります。

異常を判定するための適切な閾値(アラート基準)の設定

設備環境や要求レベルに合わせた初期基準値の考え方

潤滑油中の清浄度を管理する際、どの数値に達したら異常とみなすかという閾値(アラート基準)の設定が重要なカギを握ります。しかし、すべての軸受に対して一律の基準値を適用することは難しく、それぞれの設備環境に応じた個別の設定が欠かせません。なぜなら、軸受の種類や稼働時の回転数、かかる荷重といった条件によって、許容できる粒子量や清浄度レベルが大きく変わるためです。まずは設備メーカーの管理基準や、正常稼働時の測定データなどを参考にしながら、初期の閾値を仮で設定することをおすすめします。そこから実際の運用を通じてデータを蓄積し、自社の設備に最適な独自の基準値へと調整していくプロセスを踏むことが、精度の高い保全判断につながっていくことでしょう。

単発の測定値ではなくトレンド(傾向)で監視する重要性

閾値を設定した後の実際の運用においては、ある時点での単発の測定データだけで状態を判断しないことがポイントになります。一時的な負荷変動や給油・補給作業などによって、測定値が変動するケースもあるためです。より確実な異常検知を行うためには、時間をかけて継続的に測定を行い、粒子数の増加傾向(トレンド)を線として監視する姿勢が求められます。測定値がゆるやかに上昇しているのか、それとも急激に悪化しているのかを把握することで、軸受の異常兆候や潤滑状態の変化を捉え、保全タイミングの判断材料として活用できるでしょう。このように傾向を読み取る運用は、無駄な部品交換を減らし、状態基準保全(CBM)の精度向上につながる運用手法となります。

データに基づく閾値管理で、
軸受の的確な保全判断を実現する

軸受の安定した稼働を維持し、突発的な停止トラブルを回避するためには、粒子カウントによる定量化と、設備環境に合わせた適切な閾値の管理が欠かせません。経験や勘に頼るのではなく、オイルパーティクルカウンタを活用して客観的なデータに基づいた保全判断を行うことが、長期的には不要な交換の削減や点検の効率化にもつながっていきます。

自社の運用体制や現場のニーズに合致した測定機器を導入するためにも、各メーカーが提供しているオイルパーティクルカウンタの機能や特徴を比較検討してみてはいかがでしょうか。用途に合った製品を選ぶことで、より精度の高い潤滑油管理を実現する体制が整うことにつながります。

当メディアでは、用途や試験環境別にオイルパーティクルカウンタをご紹介。まずは下記の記事から、自社の評価試験に適した一台を見つけてください。

用途別オイルパーティクルカウンタ おすすめ3選
用途別
オイルパーティクルカウンタ
おすすめ3選
用途別
オイルパーティクルカウンタ
おすすめ3選
設備状態モニタリング
変化を連続的に
捉えたいなら
PI-1000(東陽テクニカ)
東陽テクニカ公式サイト
※画像引用元:東陽テクニカ公式サイト(https://www.toyo.co.jp/lp/las/)
状態変化をトレンドで
捉えられる計測方式

配管に据え付けてデータを自動取得する方式により、抜き取り式では捉えにくい摩耗粉の傾向的変化を計測。設備状態を点ではなく傾向で把握可能。

設備固有の摩耗特性に合った
粒度で最適化

装置ごとに異なる摩耗粒子のサイズに合わせて測定レンジを8つ設定可能。固定粒度では見逃してしまう変動も検知し、状態監視の精度が安定する。

遠隔でチェックしながら
自動でログ蓄積

PCから遠隔で状態変化の傾向を確認でき、夜間や遠隔設備でも見落としにくい。履歴はLAN経由で自動的に蓄積され、現場での記録作業を省ける。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 5~150µm
1回の計測液量 約20ml
計測可能周囲温度 RT(室温)~60℃
外形寸法 高さ290(+脚15)×幅285×奥行390(mm)
重量 約22kg
巡回点検
清浄度をその場で
判定したいなら
Icount LaserCM(Parker)
Parker公式サイト
※画像引用元:Parker公式サイト(https://ph.parker.com/jp/ja/product-list/icount-lasercm-portable-particle-counter)
現場のどこでも使えるポータブル式

電源不要のバッテリー駆動で、成形機の裏や建機ヤードなど、電源が取りにくい場所でもそのまま測定できる。

ISO/NAS表示で
2分後には結果が出る

測定後わずか2分でISO4406/NAS/AS4059の清浄度コードを表示するため、その場で結果が分かる。点検の流れを止めずに作業が完了する。

複数の油種を1台で計測可能

鉱油・燃料・Skydrolまで対応するため、油種が混在する現場でも使い回せる。台数を増やさずに済むためコスト効率が良い。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 -
1回の計測液量 -
計測可能周囲温度 -
外形寸法 高さ:277mm/長さ:240mm/幅:158mm
重量 8kg
原因分析
不良原因や摩耗の種類まで
突き止めたいなら
LaserNet 200(Spectro Scientific)
Spectro Scientific公式サイト
※画像引用元:Spectro Scientific公式サイト(https://www.spectrosci.com/product/lasernet-200-series)
4µm級まで検出し、
品質判断の見落としを防ぐ

4µm級の微小粒子まで安定して検出できるため、評価データの精度が上がり、品質保証の確度が高まる。

粒子の形まで見え
原因特定が早い

粒子を画像で取り込み、形状から摩擦・切削・疲労などの摩耗の種類を自動分類。発生メカニズムを特定し、再発防止の根拠づくりがしやすい。

監査対応の証跡をまとめて出力

清浄度コード(ISO/NAS)、粒子画像、形状分類の結果をレポートで出力。必要な証跡がそろった状態で提出できるため、監査や顧客説明の準備が短縮される。

計測方式 直接イメージング(CCDカメラ+レーザー照射)
検出粒子径範囲 4µm~100µm
1回の計測液量 数mL
計測可能周囲温度 -
外形寸法 -
重量 -