ギアボックスの摩耗粉監視|粒子スパイクの見つけ方

目次

ギアボックスの安定稼働には、潤滑油中の状態監視が重要となります。本記事では、摩耗粉によるトラブルのメカニズムや、異常の兆候として捉える「粒子スパイク」の考え方、そして突発的な設備停止リスクを低減するための具体的な監視手法について解説します。

ギアボックスにおける摩耗粉とトラブルの関係

潤滑油中に摩耗粉が発生する主な原因

産業機械の動力伝達を担うギアボックス内部では、歯車同士が強い力で噛み合って回転しています。金属表面にかかる高い圧力や摩擦によって、微細な金属片が削り取られて潤滑油の中に混入する傾向が見られます。起動・停止や負荷変動などによって潤滑状態が変化すると、摩耗が進みやすくなる場合があります。また、設備の経年劣化に伴い、こうした微細な金属粒子の発生頻度が高まることも珍しくありません。

摩耗粉の増加が引き起こす設備停止リスク

発生した摩耗粉が油中に増加すると、粒子がギアやベアリングの部品間に入り込んで二次的な摩耗を促進する可能性があります。この研磨摩耗が連鎖することで、部品の損傷が徐々に進行していく恐れをはらんでいます。その結果、振動や異音が発生するだけでなく、最終的にはギアの欠損による予期せぬ設備停止に繋がるケースも考えられます。生産ラインが突発的にストップすれば、多額の休業損失が発生するうえに、部品の交換や修理にもコストと時間がかかってしまいます。

異常のサイン「粒子スパイク」をどう捉えるか

突発的な異常摩耗を示す粒子スパイクとは

摩耗粉の発生は、時間をかけて緩やかに増加していく傾向が見受けられます。本記事では、油中の粒子数が通常の推移から急激に増加する現象を「粒子スパイク」と表現します。ギアやベアリングの異常摩耗が進行すると、油中の摩耗粒子の量やサイズ、形状などに変化が現れる場合があります。ただし、粒子数の急増は異常摩耗や設備状態の変化を示す可能性がある一方で、水分や気泡などが影響しているケースも考えられます。そのため、振動や温度、油の状態などと併せて総合的に原因を確認することが重要です。

従来の定期サンプリング分析が抱える見逃しの課題

潤滑油の状態を確認するため、現場では定期的にオイルを採取し、専門機関で分析する手法が広く用いられています。こうした定期サンプリングは油の劣化具合を詳しく知る上で非常に有効な手段と言えます。一方で、設備の使用環境や重要度に応じて分析頻度は異なりますが、測定と測定の間に設備状態が変化した場合、その変化をリアルタイムで捉えられないという課題を抱えています。分析と分析の空白期間に異常摩耗が進行してしまった場合、結果の報告を待っている間にトラブルへと発展してしまうリスクも否定できません。

粒子スパイクを逃さないリアルタイム監視手法

状態基準保全(CBM)における常時監視の重要性

突発的なトラブルのリスクを低減し、効率的なメンテナンスを実現するためには、設備の状態に応じて保全を行う状態基準保全(CBM)の考え方が重要視されています。この手法をギアボックスの摩耗管理に適用する場合、オンラインでの常時監視体制の構築がひとつの選択肢と言えます。稼働中の潤滑油を継続的にモニタリングすることで、微細な変化のトレンドを捉えやすくなります。状態が悪化したタイミングを的確に把握できれば、過剰な部品交換を減らしつつ、重大な故障の発生確率を抑えることに繋がります。

オイルパーティクルカウンタによる早期異常検知

常時監視の具体的なアプローチとして、オイルパーティクルカウンタの活用が挙げられます。この機器は、油中に存在する粒子をサイズ別や数量別に監視する役割を持ちます。粒子数の変化から設備状態の変動を捉える基本データとなるため、正常時のベースラインを設定し、そこからのトレンドを監視することが大切です。さらに、摩耗粉を特異的に検知したい場合は、金属摩耗粉に対応した専用センサーや分析手法を組み合わせることで、異常摩耗の兆候をより正確に確認できるようになります。

ギアボックスの突発停止リスクは
常時監視で低減

ギアボックスの安定稼働を維持するためには、潤滑油中の状態変化を正確に把握することが欠かせません。油中の粒子数が急増する現象をはじめとした異常のサインは、定期的なサンプリング分析だけでは見逃してしまう恐れがあります。そこで、オイルパーティクルカウンタを活用した常時監視を取り入れ、設備のトレンドを把握することが重要と言えます。金属摩耗粉センサーなどの技術も組み合わせながら、現場環境に適した監視体制を構築し、突発停止のリスクを抑えた運用を目指してみてはいかがでしょうか。

当メディアでは、用途や試験環境別にオイルパーティクルカウンタをご紹介。まずは下記の記事から、自社の評価試験に適した一台を見つけてください。

用途別オイルパーティクルカウンタ おすすめ3選
用途別
オイルパーティクルカウンタ
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おすすめ3選
設備状態モニタリング
変化を連続的に
捉えたいなら
PI-1000(東陽テクニカ)
東陽テクニカ公式サイト
※画像引用元:東陽テクニカ公式サイト(https://www.toyo.co.jp/lp/las/)
状態変化をトレンドで
捉えられる計測方式

配管に据え付けてデータを自動取得する方式により、抜き取り式では捉えにくい摩耗粉の傾向的変化を計測。設備状態を点ではなく傾向で把握可能。

設備固有の摩耗特性に合った
粒度で最適化

装置ごとに異なる摩耗粒子のサイズに合わせて測定レンジを8つ設定可能。固定粒度では見逃してしまう変動も検知し、状態監視の精度が安定する。

遠隔でチェックしながら
自動でログ蓄積

PCから遠隔で状態変化の傾向を確認でき、夜間や遠隔設備でも見落としにくい。履歴はLAN経由で自動的に蓄積され、現場での記録作業を省ける。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 5~150µm
1回の計測液量 約20ml
計測可能周囲温度 RT(室温)~60℃
外形寸法 高さ290(+脚15)×幅285×奥行390(mm)
重量 約22kg
巡回点検
清浄度をその場で
判定したいなら
Icount LaserCM(Parker)
Parker公式サイト
※画像引用元:Parker公式サイト(https://ph.parker.com/jp/ja/product-list/icount-lasercm-portable-particle-counter)
現場のどこでも使えるポータブル式

電源不要のバッテリー駆動で、成形機の裏や建機ヤードなど、電源が取りにくい場所でもそのまま測定できる。

ISO/NAS表示で
2分後には結果が出る

測定後わずか2分でISO4406/NAS/AS4059の清浄度コードを表示するため、その場で結果が分かる。点検の流れを止めずに作業が完了する。

複数の油種を1台で計測可能

鉱油・燃料・Skydrolまで対応するため、油種が混在する現場でも使い回せる。台数を増やさずに済むためコスト効率が良い。

計測方式 光遮蔽法
検出粒子径範囲 -
1回の計測液量 -
計測可能周囲温度 -
外形寸法 高さ:277mm/長さ:240mm/幅:158mm
重量 8kg
原因分析
不良原因や摩耗の種類まで
突き止めたいなら
LaserNet 200(Spectro Scientific)
Spectro Scientific公式サイト
※画像引用元:Spectro Scientific公式サイト(https://www.spectrosci.com/product/lasernet-200-series)
4µm級まで検出し、
品質判断の見落としを防ぐ

4µm級の微小粒子まで安定して検出できるため、評価データの精度が上がり、品質保証の確度が高まる。

粒子の形まで見え
原因特定が早い

粒子を画像で取り込み、形状から摩擦・切削・疲労などの摩耗の種類を自動分類。発生メカニズムを特定し、再発防止の根拠づくりがしやすい。

監査対応の証跡をまとめて出力

清浄度コード(ISO/NAS)、粒子画像、形状分類の結果をレポートで出力。必要な証跡がそろった状態で提出できるため、監査や顧客説明の準備が短縮される。

計測方式 直接イメージング(CCDカメラ+レーザー照射)
検出粒子径範囲 4µm~100µm
1回の計測液量 数mL
計測可能周囲温度 -
外形寸法 -
重量 -