機械設備の摺動部や歯車、軸受などでは、運転にともなって摩耗粉が発生することがあります。潤滑油中に含まれる摩耗粉を調べると、機械内部の摩耗状態がどのように変化しているかを把握する手がかりになります。なかでも粒径や粒径分布は、摩耗粉の状態を確認するうえで重要な情報です。ここでは、摩耗粉分析の基本から粒径分布の見方、分析時に確認したいポイントまで解説します。
摩耗粉とは、機械の部品同士が接触したり摺動したりする際に、材料の表面から生じる微小な粒子です。発生した摩耗粉は潤滑油に混ざることがあるため、油中の粒子を分析することで、部品の摩耗状態を確認する手がかりが得られます。
摩耗粉の分析では、粒子の数だけを見るのではなく、粒径や形状、材質など複数の情報を確認します。例えば、これまで少なかった大きな粒子が増えている場合には、通常時とは異なる摩耗が発生していないか確認するきっかけになります。ただし、粒径だけから摩耗の原因や発生箇所を特定できるわけではありません。
摩耗粉分析は、設備を分解して内部を確認する前に、運転状態の変化を把握するための手段の一つです。定期的に同じ条件で油を採取して分析すれば、粒子数や粒径分布などの変化を時系列で確認できます。
通常時と比べて粒子数が増えている、特定の粒径の粒子が増加しているといった変化が見られた場合は、潤滑状態や運転条件、部品の状態などを確認するきっかけになります。必要に応じて振動や温度、潤滑油の性状など、ほかの状態監視データと組み合わせることで、設備の状態を多角的に確認できます。
摩耗粉分析では、粒子がどの程度の大きさなのかを確認することが重要です。小さな粒子が多いのか、大きな粒子も含まれているのかによって、摩耗状態を考える際の手がかりが変わります。
ただし、「何µm以下なら正常」「何µm以上なら異常」といった一律の基準を、すべての設備に当てはめることはできません。対象となる機械の構造や部品の材質、潤滑条件、分析方法などによって、確認すべき粒径や判断基準は異なるためです。
そのため、特定の粒径だけを見るのではなく、通常運転時の状態と比較しながら変化を確認することが重要です。
粒径分布とは、潤滑油中に含まれる粒子を大きさごとに分け、それぞれがどの程度存在するかを示したものです。例えば、測定時期によって粒子数の構成が変化していれば、設備の状態や運転条件に何らかの変化が生じていないかを確認するきっかけになります。
特に重要なのが、過去の測定結果との比較です。ある時点から特定の粒径の粒子が増加した場合、その前後で設備の負荷や運転条件、潤滑油の状態などに変化がなかったかを確認します。こうした情報を組み合わせることで、単発の測定値だけでは分かりにくい変化を捉えやすくなります。
摩耗粉のなかには、比較的小さな粒子だけでなく、より大きな粒子が含まれる場合があります。通常時には少なかった大きな粒子が増えている場合は、摩耗状態に変化が生じていないか確認する必要があります。
ただし、大きな粒子が検出されたことだけで、直ちに重大な損傷が発生しているとは判断できません。粒子の形状や材質、発生量の推移、設備の運転状況などをあわせて確認し、必要に応じてほかの状態監視手法による調査につなげることが大切です。
摩耗粉分析では、1回の測定結果だけで設備の状態を判断するのではなく、継続的にデータを取得して変化を確認することが重要です。設備が正常に稼働しているときのデータを蓄積しておけば、その後の測定結果と比較しやすくなります。
例えば、粒子数が徐々に増加している場合には、摩耗の進行や潤滑条件の変化など、原因となる要素がないかを確認します。一方で、測定値が一時的に変化した場合は、サンプリング条件や油の交換など、設備以外の要因も考慮する必要があります。
粒径分布を見る際は、それぞれの粒径における粒子数も確認すると、状態の変化を捉えやすくなります。例えば、全体の粒子数が増えているのか、特定の大きさの粒子だけが増えているのかによって、確認すべきポイントが変わります。
また、摩耗粉以外の異物が油中に混入している場合もあるため、粒子数の増加をそのまま内部摩耗の進行と判断することはできません。設備の使用環境やメンテナンス履歴なども確認しながら、測定結果を読み解く必要があります。
油中の固体粒子を評価する方法として、ISO 4406などの清浄度コードが利用されています。ISO 4406では、一定の粒径以上に含まれる粒子数を区分し、コードによって流体中の固体粒子による汚染レベルを表します。
清浄度コードを利用すると、粒子数の変化を数値として管理しやすくなります。ただし、ISO 4406は摩耗粉だけを対象とした規格ではありません。外部から混入した異物なども含めて評価されるため、コードの変化だけから内部摩耗の状態を判断することは避ける必要があります。
摩耗粉は粒径だけでなく、形状にも特徴が現れることがあります。例えば、平坦な粒子や細長い粒子、剥離したような粒子など、さまざまな形状が確認されます。こうした特徴は、摩耗の発生メカニズムを考える際の手がかりになります。
ただし、特定の形状と摩耗の種類を一対一で対応させることはできません。形状だけで摩耗の原因を断定するのではなく、粒径や表面状態、材質、設備の運転条件などを組み合わせて評価することが重要です。
摩耗粉を分析する代表的な方法の一つがフェログラフィーです。鉄系の摩耗粒子を対象として、潤滑油中の粒子量や粒子の特徴を確認できます。
定量フェログラフィーでは、油中の鉄系摩耗粒子を大きさの違いなどによって測定し、摩耗粒子量の変化を追跡します。分析フェログラフィーでは、専用のスライド上に粒子を集め、顕微鏡によって粒子の大きさや形状、色、表面状態などを観察します。
粒子を詳しく観察できるため、粒径分布だけでは判断しにくい摩耗状態を確認する際にも役立ちます。
パーティクルカウンタは、流体中に含まれる粒子を計数し、粒径ごとの粒子数を把握するための測定方法です。鉄系の摩耗粉だけでなく、非金属粒子なども検出対象となる場合があります。
そのため、パーティクルカウンタで粒子数が増加した場合でも、すべてを内部で発生した摩耗粉と判断することはできません。外部から混入したコンタミや、設備のメンテナンスにともなって入り込んだ異物なども考慮する必要があります。
摩耗粉の発生状況を詳しく確認したい場合には、パーティクルカウントによる粒子数・粒径の測定と、フェログラフィーによる粒子の観察など、それぞれの手法で得られる情報を組み合わせることが有効です。
摩耗粉の粒径や粒径分布を確認することで、潤滑油中の粒子がどのように変化しているかを把握できます。ただし、特定の粒径だけを基準に正常・異常を判断するのではなく、通常時からの変化を時系列で追うことが重要です。
また、粒径だけでは摩耗の原因や発生箇所を判断できないため、粒子の形状や材質、潤滑油の状態、設備の運転条件などもあわせて確認する必要があります。パーティクルカウントやフェログラフィーなど、それぞれの分析方法の特徴を踏まえてデータを組み合わせることで、設備状態を確認するための材料を増やせます。
当メディアでは、用途や試験環境別にオイルパーティクルカウンタをご紹介。まずは下記の記事から、自社の評価試験に適した一台を見つけてください。

配管に据え付けてデータを自動取得する方式により、抜き取り式では捉えにくい摩耗粉の傾向的変化を計測。設備状態を点ではなく傾向で把握可能。
装置ごとに異なる摩耗粒子のサイズに合わせて測定レンジを8つ設定可能。固定粒度では見逃してしまう変動も検知し、状態監視の精度が安定する。
PCから遠隔で状態変化の傾向を確認でき、夜間や遠隔設備でも見落としにくい。履歴はLAN経由で自動的に蓄積され、現場での記録作業を省ける。
| 計測方式 | 光遮蔽法 |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | 5~150µm |
| 1回の計測液量 | 約20ml |
| 計測可能周囲温度 | RT(室温)~60℃ |
| 外形寸法 | 高さ290(+脚15)×幅285×奥行390(mm) |
| 重量 | 約22kg |

電源不要のバッテリー駆動で、成形機の裏や建機ヤードなど、電源が取りにくい場所でもそのまま測定できる。
測定後わずか2分でISO4406/NAS/AS4059の清浄度コードを表示するため、その場で結果が分かる。点検の流れを止めずに作業が完了する。
鉱油・燃料・Skydrolまで対応するため、油種が混在する現場でも使い回せる。台数を増やさずに済むためコスト効率が良い。
| 計測方式 | 光遮蔽法 |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | - |
| 1回の計測液量 | - |
| 計測可能周囲温度 | - |
| 外形寸法 | 高さ:277mm/長さ:240mm/幅:158mm |
| 重量 | 8kg |

4µm級の微小粒子まで安定して検出できるため、評価データの精度が上がり、品質保証の確度が高まる。
粒子を画像で取り込み、形状から摩擦・切削・疲労などの摩耗の種類を自動分類。発生メカニズムを特定し、再発防止の根拠づくりがしやすい。
清浄度コード(ISO/NAS)、粒子画像、形状分類の結果をレポートで出力。必要な証跡がそろった状態で提出できるため、監査や顧客説明の準備が短縮される。
| 計測方式 | 直接イメージング(CCDカメラ+レーザー照射) |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | 4µm~100µm |
| 1回の計測液量 | 数mL |
| 計測可能周囲温度 | - |
| 外形寸法 | - |
| 重量 | - |