ベアリングの安定稼働には、潤滑油中の摩耗粉を早期に検知することが重要となります。本記事では、異常初期にみられる摩耗粉の特徴や放置するリスク、オイルパーティクルカウンタを活用した異常検知について解説します。
ベアリングは稼働中に転動体と軌道輪の間で常に負荷がかかるため、異常の初期段階では金属表面に微小な亀裂が生じることがあります。この亀裂が進行すると、金属表面がはがれ落ちるフレーキング(剥離)と呼ばれる現象が起こり、金属粒子が摩耗粉として潤滑油中に混入していく過程をたどります。発生した金属粒子は、ベアリング内部で何らかの損傷が起きていることを知らせる重要なサインと言えるでしょう。初期段階では微細な粒子として検出される場合が多く、粒子数やサイズ分布の変化を監視することで、異常兆候の把握につながります。定期的なオイルのチェックを通じて、これらのサインを見逃さないようにすることが求められます。
摩耗粉は、損傷状態や荷重条件などによって異なりますが、進行度に応じてサイズや形状が変化する傾向があります。一般的に、異常の初期段階では微細な粒子が増加しやすいものの、症状が悪化して表面の剥離が進むと、大きな摩耗粉が増えるパターンが多く見受けられます。また、粒子の形状についても、摩擦による滑らかで丸みを帯びたものから、疲労剥離に伴う角張った不規則な破片へと変わっていくことが知られています。このような摩耗粉のサイズと形状の変化を注意深く読み取ることで、ベアリング内部の損傷がどの程度進行しているのかを推測する手がかりとなります。(一般的な摩耗粉の発生原因や種類については、関連記事にて詳しく解説しています。)
発生した摩耗粉をそのまま放置していると、潤滑油の清浄度が著しく低下する原因となります。清浄度が下がったオイルの中では、硬い金属粒子や異物がベアリングの転動面やギヤなどのすき間に噛み込み、接触面をさらに削り取ってしまう恐れがあります。これにより表面の損傷が進み、新たな摩耗粉が生み出されることで摩耗がさらに加速するという「摩耗の連鎖」が引き起こされるのです。摩耗が進行すると部品同士のスムーズな回転が妨げられ、結果として異常な振動や異音が発生する要因となってしまいます。
摩耗の連鎖が止まらずにベアリングの損傷が限界を超えると、深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。潤滑不足や過大な荷重、異常な発熱などが重なることで金属接触が激しくなり、最終的には部品が損傷する焼付きが発生することがあります。ひとたび焼付きが起これば、ベアリングの回転が停止し、それに伴って生産ラインや設備全体が急に止まってしまう事態になりかねません。このような突発的な設備停止は、生産計画の大幅な遅れや多額の修理費用といった損害につながります。そのため、摩耗粉が引き起こすリスクを適切に評価し、早い段階で対処することが設備の安定稼働において欠かせない要素となります。
ベアリングの保全においては、機械の揺れを測る「振動診断」と、オイル中の異物を調べる「潤滑油診断」が広く取り入れられています。振動診断では、軸受の損傷やアンバランスなどによって生じる振動の変化を捉えることができ、状態監視として非常に有効な手段です。一方で、潤滑油診断による摩耗粉の監視は、内部で削れ落ちた微細な金属粒子そのものを直接確認できるという特徴があります。それぞれの診断手法は異常を捉えるアプローチが異なるため、振動診断と潤滑油診断を補完的に組み合わせることで、より多角的な視点から異常の兆候を把握しやすくなります。
潤滑油中の粒子量や粒径を定量的かつ効率的に監視するための機器として、オイルパーティクルカウンタが挙げられます。この装置は、オイルの中に含まれる微小な粒子の数や大きさを光学的な原理などを用いて測定し、目に見えない汚れを客観的な数値として表示します。パーティクルカウンタを活用することで、目視点検では気づきにくい初期の粒子増加傾向を捉えることが可能です。ただし、検出された粒子が金属摩耗粉なのか外部からの侵入異物なのかは別の分析が必要になる場合があるため、あくまで汚染度や粒径の監視ツールとして用いるのが適しています。これによって、致命的なダメージを受ける前に計画的なメンテナンスを実施しやすくなり、トラブルの予防に役立ちます。
ベアリングの突発的なトラブルを防ぐためには、設備内部の異常を示す兆候を早期に検知し、適切な処置を行う体制づくりが重要です。目視では確認できない微細な粒子の増加やサイズの変化を数値として把握するためには、自社の設備環境に合ったオイルパーティクルカウンタの導入を検討することが効果的な手段となります。どのような製品が自社の運用に適しているかを知るために、用途や機能ごとに比較検討を行ってみることをおすすめします。
当メディアでは、用途や試験環境別にオイルパーティクルカウンタをご紹介。まずは下記の記事から、自社の評価試験に適した一台を見つけてください。

配管に据え付けてデータを自動取得する方式により、抜き取り式では捉えにくい摩耗粉の傾向的変化を計測。設備状態を点ではなく傾向で把握可能。
装置ごとに異なる摩耗粒子のサイズに合わせて測定レンジを8つ設定可能。固定粒度では見逃してしまう変動も検知し、状態監視の精度が安定する。
PCから遠隔で状態変化の傾向を確認でき、夜間や遠隔設備でも見落としにくい。履歴はLAN経由で自動的に蓄積され、現場での記録作業を省ける。
| 計測方式 | 光遮蔽法 |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | 5~150µm |
| 1回の計測液量 | 約20ml |
| 計測可能周囲温度 | RT(室温)~60℃ |
| 外形寸法 | 高さ290(+脚15)×幅285×奥行390(mm) |
| 重量 | 約22kg |

電源不要のバッテリー駆動で、成形機の裏や建機ヤードなど、電源が取りにくい場所でもそのまま測定できる。
測定後わずか2分でISO4406/NAS/AS4059の清浄度コードを表示するため、その場で結果が分かる。点検の流れを止めずに作業が完了する。
鉱油・燃料・Skydrolまで対応するため、油種が混在する現場でも使い回せる。台数を増やさずに済むためコスト効率が良い。
| 計測方式 | 光遮蔽法 |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | - |
| 1回の計測液量 | - |
| 計測可能周囲温度 | - |
| 外形寸法 | 高さ:277mm/長さ:240mm/幅:158mm |
| 重量 | 8kg |

4µm級の微小粒子まで安定して検出できるため、評価データの精度が上がり、品質保証の確度が高まる。
粒子を画像で取り込み、形状から摩擦・切削・疲労などの摩耗の種類を自動分類。発生メカニズムを特定し、再発防止の根拠づくりがしやすい。
清浄度コード(ISO/NAS)、粒子画像、形状分類の結果をレポートで出力。必要な証跡がそろった状態で提出できるため、監査や顧客説明の準備が短縮される。
| 計測方式 | 直接イメージング(CCDカメラ+レーザー照射) |
|---|---|
| 検出粒子径範囲 | 4µm~100µm |
| 1回の計測液量 | 数mL |
| 計測可能周囲温度 | - |
| 外形寸法 | - |
| 重量 | - |